染と織 かつらの歴史

鎌倉文士と着物

先代がここ鎌倉の地にかつらを
創業したのは昭和32年(1957)

着物を好んでお召しになる方もまだまだ多く、モダンで個性的な着こなしを楽しんでいるご婦人も少なくありませんでした。またこの土地が別荘地として人気であったため、いわゆる鎌倉文士と呼ばれる方々をはじめ文化人が多く暮らしていました。そのような中でご縁をいただいたお客様のお引き立てにより、今日まで商いを続けることができました。

かつらが大切にしている言葉

先代がわたくし達に伝え遺した言葉で

弊店の揺るぎない
背骨になったものがあります。

「誠実にに勝る王道無し」
「信を以って、信を得る」

創業間もない頃に出会った素晴らしいお客様の方々、そのお付き合いによって先代(母)が学んだ大切な言葉。
現在も日々それを心に刻み、
商いをさせていただいています。

肖像画 『呉服商のあるじ』

創業から2年ほどたった頃、
お付き合いいただいていた
有島生馬氏から
ご自宅へのお誘いがありました。
到着すると
「君の絵を描きたいがどうだろうか?」と生馬氏。

おどろいた先代は恐れ多い事ですと固辞しましたが、
脇にいらした
お嬢様の暁子さんに説得され、
お受けする事となりました。
通称稲村ケ崎の「松の屋敷」、有島邸に完成まで通うこと半年。
その作品「呉服商のあるじ」は、
約30年後の1987年に暁子さんから
先代にプレゼントとして
頂戴しました。

今では弊店の宝物です。

肖像画の元となった先代の写真
お客様のお庭にて
現社長(右)

かつらのあゆみ

  • 昭和32年 鎌倉市由比ガ浜に創業
  • 昭和42年 初の京都展を開催
    • 地方都市である鎌倉の呉服店が本場京都で単独の
      展示会を開催すること自体
      大それた挑戦でしたが、
      里見、有島両氏の応援をいただき結果は大成功。

      庄田富美子 様(美智子上皇后様お母さま)
      竹山道雄 様(小説『ビルマの竪琴』著者)
      江戸 英雄様(実業家・三井不動産社長ほか)
      江戸 弘子様(東邦学園大学音楽部教授・英雄様の奥様)
      江戸京子様(ピアニスト・英雄様ご息女)

      これらの方々を里見、有島両氏にご紹介いただいた事で
      創業して間もないかつらは各界で著名な方々に
      ご用命を賜るまでに成長させていただきました。
  • 昭和61年 鎌倉市小町に移転
    現在は観光地鎌倉を代表する小町通り。
    創業の地由比ガ浜から
    移転しました。
  • 平成16年 鎌倉市御成町に移転
    小町通りが観光化する中、
    ゆったりと落ち着いた雰囲気で
    呉服をご覧いただける
    現在の地に移転しました。